2019年のドラフト会議で巨人に4位指名された井上温大投手。
整った投球フォームとキレのあるストレートで将来性を感じさせる逸材です。
この記事では、井上投手の高校時代やフォームの特徴、さらには将来性について紹介します。
井上温大の高校時代とドラフト
井上投手は群馬県立前橋商業高校に進学しました。
井上投手は1年秋からベンチ入りして徐々に頭角を現し、130キロ台のストレートを投げる好投手と地元では評判となりました。
しかし、井上投手に対するプロの注目度はあまり高くありませんでした。
中学時代に県大会で8強に入ったことが、井上投手最大の成功体験という程度であり、目立つ実績を挙げていなかったからです。
そんな井上投手のもとにスカウトが訪れました。
井上投手2年秋のことです。前橋商業高校の住吉監督はスカウトから、「このまましっかりやっていけばドラフトで選ばれる可能性がある」と伝えられたそうです。
これを聞いた井上投手は発奮し、食事トレーニングを実施。秋から春にかけて体重を6キロ増やしました。
この結果、球速は大幅にアップし、3年春の県大会準々決勝では強打の健大高崎高校を5回無失点に抑える好投。
一躍、その名をプロのスカウトの間に広めました。
夏の県大会初戦となる富岡高校戦には、9球団35名のスカウトが集結。
スカウト陣の前で、8回を投げ1失点、6奪三振の好投をし、さらに評価を上げました。
群馬県大会決勝で前橋育英高校に破れ、甲子園出場は逃しましたが、50回1/3を投げて防御率2.14、45奪三振という好結果を残します。
井上投手の将来性を予感させるものでした。
そして迎えた2019年ドラフト会議。
井上投手は、巨人に4位指名され「菅野投手を目標に、勝てるピッチャーになりたい」と、熱く意気込みを語ったのでした。
井上温大の完成されたフォーム
井上投手の特徴は完成された美しいフォームです。
ソフトバンクの工藤公康監督の現役時代のフォームを参考にして、井上投手自身で研究し、磨き上げたそうです。
この井上投手のフォームについては、プロのスカウト陣は次のように大絶賛しています。
巨人・内田スカウト
「軸がしっかりしていて、外線から内線にかけて素晴らしい使い方をしている」ヤクルト・橿渕スカウト
「とにかくフォームがきれい。けん制、フィールディングを含めて直すところがない」ロッテ・永野スカウト
「これほどシルエットがきれいな左投手は見たことがない」楽天・沖原佳典スカウト
「いじるところが見当たらない」
この完成されたフォームから繰り出されるボールのキレは抜群。井上投手が投じた130キロ台のストレートに対して、打者が差し込まれるシーンは何度もあったそうです。
プロでもそのキレのいいストレートと変化球のコンビネーションで、勝てる投手になってほしいですね。
井上温大の将来性
井上投手は、即戦力ではなく素材型のピッチャーだと言われています。
その大きな理由は、プロとしては細身すぎる体型。身長175センチに対して体重は72キロ。明らかに、プロの他の選手と比べて弱々しく見えてしまいます。
井上投手がフォームのお手本とした工藤公康監督も、現役当時、身長は176センチと井上選手とほぼ同じでしたが、体重は80キロありました。
また、井上投手が目標とする巨人・菅野投手は、身長186センチ、体重92キロと野球選手として完璧な体格です。
線が細いことが100%悪いというわけではありませんが、プロの世界で輝くためには、より速く、よりキレのあるボールを投げなくてはなりません。そのための身体作りは、やはり必要でしょう。
巨人の長谷川スカウトは、井上投手を次のように評しています。
「投げ方のバランスがいい。球速はもっと出るはず。体をいかに強くしていくかでしょう」
やはり身体を作ることが第一のようですね。
とはいえ、井上投手には大きなアドバンテージがあります。
それは、前述した投球フォームの良さです。新人投手は、コーチ陣から投球フォームを修正させられることが通常です。
しかし井上投手にその必要はありません。
このことは、井上投手が身体を作ることさえできれば、一線級で活躍できる可能性があることを意味します。
現に、各チームのスカウト陣は、高卒ルーキーである井上投手に対し、次のようなコメントを残していました。
巨人・内田スカウト
「1、2年して巨人軍のエースになってほしい」楽天・沖原佳典スカウト
「3年後にはすごい投手になっているはず」
高卒新人で1~3年での大活躍を見込まれるというのは、尋常ではありません。
高卒で3年以内にエース級の成績を残したのは、松坂大輔投手、田中将大投手、藤浪晋太郎投手ぐらいですから。
素材型と言われ将来性を大いに期待されている井上投手ですが、その将来とは案外、すぐにやってくるかもしれませんね。
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