奈良県五條市で育ち、高校は強豪智弁学園出身の岡本和真。
身長185cm、体重96kgの恵まれた体格、構えは神主・右のスラッガーとしてついに2018年6月2日に巨人の第89代4番で出場。
実績がほとんど無かったのも当然ではあるが、この年キャリアハイの成績を収めた岡本和真、打者としての実力がいかほどのものかこれまでの実績をみていく。
1.地味なプロデビューからの3年間
2014年ドラフト1位指名で入団するも最初の年2015年から2017年までの3年間は出場機会がほとんど無く、レギュラー定着はおろか規定打席到達にも程遠い数字であった。
しかし、この3年間はいたずらに時間だけが過ぎていったわけではない。
レギュラーシーズン終了後プエルトリコでウィンターリーグを経験し、二軍のイースタンリーグでは4番打者としてシーズンのほとんどを過ごした。
そして何より当時の二軍打撃コーチ二岡智宏の存在は、のちの第89代4番打者・岡本和真を作り上げた非常に大きな要因の一つとなったに違いない。
2.打撃開花した2018年
2018年はオープン戦から結果を残し、開幕は6番・ファーストで出場。
以降それなりに出場を重ねていき、来たる6月2日ついに第89代4番打者として出場し、いきなり第一打席でレフトへソロホームランを放つ。
その後もシーズン終わりまで安定したバッティングを続けた。
終わってみるとこの年の打撃成績は、打率.309 ホームラン33本 100打点 の大記録となった。
また、ここでひとつ打撃の成績についてより信頼性の高いOPSについてみていくと、岡本和真のOPSは935(リーグ8位)であった。
これは同じチームで名実ともに評価の高い坂本 勇人の2018年のOPS962(リーグ7位)に迫る勢いであった。
OPSの中身をさらに紐解いていくと、下表のような数字が出てきた。下表は岡本 和真と坂本 勇人のOPSに関わりの強い要素を抜粋したものである。
選手 | 安打 | 二塁打 | 本塁打 | 四死球 | OPS |
岡本 和真 | 167 | 26 | 33 | 77 | 935 |
坂本 勇人 | 152 | 27 | 18 | 71 | 962 |
表から分かるとおり、安打・本塁打・四死球とほとんどの部門においても坂本勇人の数字を上回るがOPSは低い。
なぜなら、OPSは率である。
坂本勇人はこの年打席が502と少ない中でチャンスをものにしたといったほうがいいかもしれない。(岡本和真の打席は616)
ただ、この日本代表にも選出され今や3000本安打に一番近い男と言われる坂本勇人の成績にもあと一歩のところまできたということは非常に高く評価されて然りではないだろうか。
3.苦しんだ2019年
華々しく打撃開花した2018年とは対照的に2019年の岡本 和真は序盤からなかなか打率が伸びず一時期は4番を外れることもあった。
ただ、夏以降は調子をやや取り戻しシーズン終盤までもっていった。
前半戦の不調が大きく響いたことでこの年は
打率.265 ホームラン31本 94打点、OPSは828
という成績で終わった。
ざっくり言ってしまえば、この年の大きな打撃の落ち込みとなったのは「サウスポーが打てなかったから」これに尽きる。
2018年の対左投手は打率336、これに対して2019年は打率239である。
しかし、単純に打率が低いということは否めないが、ホームラン・打点は2018年とまではいかないにしろ、打率の悪さからすると少ないチャンスをものにしたという見方もできないだろうか。
なぜなら、2年連続30ホーマーは現巨人監督 原辰徳以来33年ぶりの快挙である。
4.今後の躍進
2020年ペナントレース開幕まであと少し。
今期は2019年の後半戦の感覚を感じながらペナントレースに入れるかどうかだが、これまでの成績をみてきたとおり実績は浅くこれからどうなっていくのかまだまだ目が離せない。
ただ、何より年齢は24歳とまだ若い。
これまでの課題を克服し、自分の打撃スタイルを確立できたなら球界を背負っていく存在となるのは間違いない。
そんな若き悩める4番 岡本和真の復調と更なる躍進をジャイアンツファンはこれからも期待しているだろう。
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